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探偵ガリレオ:感想 [タイトル:た行]

東野圭吾 『探偵ガリレオ』, 文藝春秋

探偵ガリレオ (文春文庫) 科学トリックが満載な連作短編ミステリ。
東野さんは宮部みゆきさんと並ぶ達者な作家なので、安心して読めるクオリティ。

 続編に短編集『予知夢』、長編『容疑者Xの献身』等がある。なお、福山雅治主演のドラマ化後に出た作品(『ガリレオの苦悩』等)には、ドラマオリジナルキャラクターだった女性刑事も登場し、やや別物の感がある。

 
古典的ミステリでは禁じ手の、専門家にしか分からない科学トリックを使用している。
よって、純粋に推理小説としての論理を楽しむ作品ではない。
それでも、ミステリとして楽しめるのは、さすが東野圭吾。

 
偏屈な物理学者の湯川と、湯川に科学音痴を揶揄される刑事の草薙。
説明がつかない事件が起こると、湯川のところに草薙が相談に来る。
二人は現場や関係者を回り、湯川が実験でトリックを説明する、という流れ。

 ともすれば、草薙は記号的にワトソン役になるところだが、
草薙がたまに向ける湯川に対する冷静な視線から、彼もまた有能な刑事だと分かる。
二人には学生時代から続く友情と、事件へのスタンスの違いからくる絶妙な距離感があって、そこが面白い。

「どうだい?」と彼は湯川を見た。
湯川はいつの間にか頬杖をついていた。だがそれが退屈している徴でないことは、眼鏡の奥の目が語っている。
(文春文庫版, p.35)


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中国帝王図:感想 [タイトル:た行]

田中芳樹ほか 『中国帝王図』, 講談社


中国帝王図 (講談社文庫)  中国史初心者にもやさしい、つまみ食い的なミニ図鑑。大人向けというより、中高生が読めば、中国史に興味をもってくれて良いかもしれない。
 
 
田中芳樹、井上 祐美子、狩野 あざみ、 赤坂 好美らが各帝王の記事を分担して書いている。皇名月さんのイラストが美しく、分量的にも厚くなく、軽めの文庫で読みやすい。
 (※皇名月:中国王朝ものに定評がある漫画家。『梁山伯と祝英台 』は良作。)

 個人的には、後漢の劉秀、宋の趙匡胤のエピソードが好きだ。
 これを入り口に、興味を持った人物の歴史や小説を探索してみると読書は広がる。
気になる時代、人物が登場する本を手にとってみては。

 
中国歴史小説では、田中芳樹、陳舜臣、宮城谷昌光ら(読破のハードルが低い順)の本がおすすめ。

 後漢の光武帝 劉秀
「人は足ることを知らずして苦しむ。既に隴を得てまた蜀を望むなり。ひとたび兵を発することに、頭髪為に白し」
千古の名文というべきであろう。天下統一を目前とした劉秀が、二十八将のひとり岑彭に送った親書の一節である。(講談社文庫版, p.86)

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