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探偵ガリレオ:感想 [タイトル:た行]

東野圭吾 『探偵ガリレオ』, 文藝春秋

探偵ガリレオ (文春文庫) 科学トリックが満載な連作短編ミステリ。
東野さんは宮部みゆきさんと並ぶ達者な作家なので、安心して読めるクオリティ。

 続編に短編集『予知夢』、長編『容疑者Xの献身』等がある。なお、福山雅治主演のドラマ化後に出た作品(『ガリレオの苦悩』等)には、ドラマオリジナルキャラクターだった女性刑事も登場し、やや別物の感がある。

 
古典的ミステリでは禁じ手の、専門家にしか分からない科学トリックを使用している。
よって、純粋に推理小説としての論理を楽しむ作品ではない。
それでも、ミステリとして楽しめるのは、さすが東野圭吾。

 
偏屈な物理学者の湯川と、湯川に科学音痴を揶揄される刑事の草薙。
説明がつかない事件が起こると、湯川のところに草薙が相談に来る。
二人は現場や関係者を回り、湯川が実験でトリックを説明する、という流れ。

 ともすれば、草薙は記号的にワトソン役になるところだが、
草薙がたまに向ける湯川に対する冷静な視線から、彼もまた有能な刑事だと分かる。
二人には学生時代から続く友情と、事件へのスタンスの違いからくる絶妙な距離感があって、そこが面白い。

「どうだい?」と彼は湯川を見た。
湯川はいつの間にか頬杖をついていた。だがそれが退屈している徴でないことは、眼鏡の奥の目が語っている。
(文春文庫版, p.35)


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