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The S.O.U.P.:感想 [タイトル:さ行]

川端 裕人 『The S.O.U.P.』, 角川書店

The S.O.U.P. (角川文庫)  インターネットを舞台にした、サイバー・クライシス小説。
初出の単行本は2001年の刊行で、日進月歩のネットの世界を描く小説にも関わらず、古さを感じさせない面白さ。
未知のテーマであっても理解できるだけの情報を読者に与えつつ、説明くささは無い。

 主人公は、オンライゲーム「The S.O.U.P.」の開発者として知られていたが、現在は、セキュリティ関連のコンサルタントをしている(引きこもりのコンピューターオタクとも言える)。
 しかし、ある日訪れた経産省の役人からの依頼をきっかけに、かつて情熱を注いだ「The S.O.U.P.」の変質と、謎の集団EGGの存在を知る。
EGGを追う内に、ハッカー変死事件を追うFBIと交差し、世界規模のサイバーテロに巻き込まれ・・・。

 オンラインゲームにも、ネットワークにも不案内だが、面白かった。
単なる、凄腕ハッカーが活躍する話ではない。技術の根底にある思いや希望を描いている。
 さて、拡大した事件の結末どうなったのか。悪くない余韻である。

「ぼくはね、『世界』を創りたいんだ」光は身を乗り出した。「ほら、RPGの中には世界があるでしょう。その中で登場人物が、生まれ、成長し、死んでいく世界が。プレイしていて『世界』の広がりを感じられるようなRPGをつくりたいんだ」(角川文庫版, p.121)


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