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ナイン・テイラーズ:感想 [タイトル:な行]

ドロシー・L・セイヤーズ 『ナイン・テイラーズ』, 東京創元社


ナイン・テイラーズ (創元推理文庫) クリスティと並ぶミステリの女王たるセイヤーズによる傑作長編。
ミステリ初心者には敷居が高いかもしれないが、これぞ本格推理小説。
見事に構築された論理と世界にただ酔えばいい。


 有閑貴族のピーター・ウィムジィ卿が探偵を務めるシリーズの1つ。
シリーズ内は月日が流れており、おなじみの登場人物が出てくることもあるが、この作品では特に気にする必要は無い。

 ピーター卿が迷い込んだ小村で、教会の鐘を中心に物語がつむがれる。
平穏だった村から見つかった身元不明の死体は、いったいどうして、村に現れたのか。鐘が鳴り響く夜、いったい村では何が起こっていたのか。

 ひとつひとつ謎が解き明かされていくうちに、破綻無く結末に向かって収束していく物語。そして、結末に至ったとき、収束した破片が一気に想起され全体が現れる。
 
前半の、鐘の演奏方法の説明などは、衒学的でやや苦痛かもしれない。
しかし、この部分があってこそ、それを乗り越えた先に
ミステリの醍醐味が待っているのだ


 へえ、わしゃテイラー・ポールをごっそり引いてきたで。―中略―、これからもずんと引いちゃる気ですのよ。わしのために九告鐘(ナイン・テイラーズ)を鳴らしてくれるまで、へえ
(創元推理文庫版, p.37)

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